自粛中の我が家

たんぽぽにバラは咲きません

たんぽぽにバラは咲きません

 

  新型コロナウィルスの影響で3月からの三ヶ月間、休校と登園自粛により2才、5才、9才の男三人と家で過ごしていた我が家。ご想像の通り、嵐のような日々でした。

 

  GWや年末年始のような連休とは違っていつまで続くか分からない日々。今まで当たり前だった学校や保育園、習い事が無くなって遊びや勉強、運動や友達との関わりも激減。外出自粛で家の中で過ごす事が基本になった生活。がらりと変わった生活スタイルに、大人さえ戸惑っているのに子どもは尚の事辛かったと思います。
  気分転換しようと思っても出来る事が限られているので溜まったストレスが解消されないまま、また少しづつ積み重なっていく日々でした。

  あと一滴の水や少しの衝撃で簡単に溢れてしまうような、例えるならまるでコップの中の水が表面張力でギリギリ保っている状態で、一生懸命ストローで飲んでも少しずつしか減らず新たに水が注がれていきます。三人分のコップの水を吸う私は3本のストローを同時に吸える程器用ではなく時間が掛かり、最初の頃はぐんぐん吸えた水も気づけば私のお腹はちゃぷちゃぷです。更にそのダークな水を吸っているので私の気持ちもどんどんダークになり、みるみるうちに吸うスピードは落ち、溢れる水は止められなくなってしまいました。

  私はただ必死に吸い続ける日々。なのに溢れてしまう水。頑張っているのに実らない、そんな自粛生活の前半でした。

  兄弟が一緒にいる時間が長くなり朝起きてから夜全員が眠るまで誰かしらが爆発しているような状態で、本当にもうこれ以上絶対吸えないわとなった時は実家にお泊りに行かせました。

  次男は一番ママっ子で長男と喧嘩する事が多い為、長男と三男でのお泊りにしました。私も一人の時間があれば完全回復出来そうな気がしますが、それでも次男とだけ過ごす夜はとても気が楽で心も体も休まる時間でした。次男も、上にバカにされることもなく下に邪魔されることもなくのびのびとした時間を過ごせました。きっと私が貼りついて、上手くサポートすればスムーズにいくのでしょうが全てをとなると難しいです。家事もしないといけないし、コントロールするのにもとても気力を使います。ましてお腹ちゃぷちゃぷの時にはとても付き合いきれないわ‥と思う時もありました。

  でもやっぱり子どもたちの笑顔を見たいですし喧嘩したり泣いてばかりのおうち時間では誰も楽しくありません。それぞれの生活リズムややりたい事、好みもバラバラです。誰かを満たそうとすると、誰かに不満や我慢がでてくる‥

そんな事を繰り返しているうちに急にふと無謀な挑戦をしているような気持ちになってきました。

  どうすれば、どんな手を使えばと調べ考え試行錯誤していましたがそれでも中々上手くいかず、たんぽぽのつぼみにどうにかバラを咲かせようと必死に水や肥料を与えているような‥これだけやってみても実らないなら、初めから無理な事に必死になっているのではないかと。少なくとも私と三兄弟には難しい挑戦だったのです。

  けれど、そう思えてからは逆に気が楽になりました。満点を目指していましたがそれは無理、と思えてからは、60点70点が限界でしょ!と思えるように。ストローで吸うペースも少し下げる事でお腹ちゃぷちゃぷ状態が減り、余裕を持って子どもたちと向き合えるようになりました。すると自然と子どもたちもまあるくなり、注がれる水のペースも落ちていきました。不思議でした。私一人の少しの変化が三人に伝わったのです。"お母さんはお家の太陽 "ってこう言う事だったのです。

 

  この三ヶ月間、今後無いんじゃないかと思えるほど濃く長い時間を子どもたちと過ごしました。落ち込んだり凹んだりも沢山しましたが、三人の育児に対する昔の気持ちを思い出す事ができたり、笑顔のパワー、気持ちの連鎖、自分の力量を見極める事の大事さなど沢山学びました。また、日々の生活の中で自然と周りからサポートを受けて子育てしていたんだなと実感しました。

  今回、実家に頼れていなかったから、もっと大惨事だったと思います。学校や保育園もそうですが、普段通りの生活や人と関わる事は子どもの安定の為にとても大切なのだと感じました。

  今回の生活からは色んな事のありがたみを知り、子どもたちに対しても、これ以上出来る事ない!ってくらい全力で向き合いました。

  子どもたちはこれだけお互いの気持ちをぶつけ合った日々を送った事でよりお互いを知れました。

 

  たんぽぽにバラは実らないということを経験した私ですが、振り返ると悪い事だけではなかったな、必死に挑戦して良かったなと感じています。